私が内弟子の時、総裁が言われた言葉の一つに、
「君、極真とは真を極めると書くんだよ。体力を極める事、精神を極める事、技を極める事も大事だが、しかし君、自己を極める事を忘れてはだめだよ。」というものがあります。その時は言葉の意味が分からず、ただ必死で稽古している次第でした。

 極真会館は、総裁が亡くなられてから分裂しました。その時に私は、「これからは極真カラテの道場が多く出来るだろう、そして派閥の勢力争いの為の道場が増えてくるに違いない。道場訓も同じ、基本、型、サンドバック、バーベル、試合も大差ないだろう。それでは、指導者は私でなく誰でも良い事になってしまうのではないか。大山総裁に内弟子に入れていただいた恩、又稽古をつけていただいた恩も、総裁の理念も、すべてが皆無になってしまうのではないか?」と考えました。

総裁はまた、こうもおっしゃっていました。「君、内弟子は武道家なのだよ。武道家として生き、社会の役に立たなくてはいけない。普通では困るのだよ。武道家としての見方、行動、立ち居振る舞いを行い、生涯をかけて宮本武蔵先生になるのだよ」と。

 そして組織が分裂したとき、「真を極めて極真、自己を極める」という意味が自分なりに心でわかりました。鶴岡へ指導に行く途中の月山道路で、口から自然に次の言葉が出てきました。

 「人間の本体は心であり、心の本体は気である。この気は宇宙開闢の気と同根である。この気を強く大きくし、自己に打ち克ち、敵に打ち勝ち、運命に打ち克つ。これが我が道場の面目である」と。このことこそが、自己を極める第一歩である、と。

 人間として、稽古を通じて自己の生命力を強くし、試合や危害から身を守り、また社会の基本である家庭を守り、潤わせ、会社においては、自己の明徳を明らかにし、社会においては必要とされる人となる。この事が、自分自身を極める事であるし、自分を創造、進化、調和させ、発展させる事に他ならない。道場訓と道場面目、理、事、理事一致、忘理事一致の稽古法を以て、理念とする次第です。 



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